■一般相対性理論
つい最近までは17世紀の物理学者アイザック・ニュートンの力学が主流だった。ニュートンと言えば、リンゴの木から実が落ちるのを見て、引力の存在に気づき、そして月が地球の周りを回っていることも気づいたとされる話はあまりにも有名だけど、その真偽はわかっていない。
しかし、19世紀になってアルベルト・アインシュタインという物理学者の登場でこれまでの宇宙の概念ががらりと変わった。
1915年から翌年にかけてアインシュタインは一般相対性理論を導き出し、アイザック・ニュートンの万有引力の法則に修正を加え、さらに時間と空間を含んだ、まったく新しい方程式をつくった。
このときから宇宙についての謎が小さな視野からではなく、宇宙全体といった大きな視野で議論するようになった。
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アインシュタインの提唱した一般相対性理論を式を「10元連立非線型2階偏微分方程式」という。![]() gij は、歪んだ4次元時空点での計量テンソル。 R は、スカラー曲率と呼び、4次元時空点における歪み具合を一つの値(スカラー)で表している。 真面目に勉強した人と同程度の知識がないと、理解できないかも知れません) k は、定数でk=8πG/c^4です。(πは円周率、Gは重力定数、cは光速度) Tij は、エネルギー・運動量テンソル(もちろん、4次元形式)です。 |
1917年にアインシュタインは一般相対性理論を、宇宙全体は一様で等方的であり、宇宙の大きさは時間に無関係で一定であると定義していたけれど、宇宙は静止することなく動いていることがわかった。それは宇宙空間にある物質同士は重力によって引き合っているから、宇宙は初めは緩やかに収縮していき、そしてだんだんと加速しながら収縮するようになる。アインシュタインにとっての宇宙は静止している宇宙であるべきであり、時間の経過とともに宇宙の大きさが変わっていくことはないと信じていた。
このことでアインシュタインは、物質と物質に働く万有引力に対抗して、まだ実験では全く発見されていない架空の力である、空間と空間に働く斥力というものを、もともとの一般相対性理論に宇宙項Λ(ラムダ)という定数を無理やり加えることになった。
しかし、この宇宙項こそが、後の研究でわかってきたダークエネルギーだと言われている。宇宙項は何らかのエネルギー密度をあらわしているので、量子論的にみると、真空のエネルギー密度であるとされている。アインシュタインがあのとき無理やり宇宙項Λ(ラムダ)を加えたインスピレーションのすごさには驚かされる。このことからもアインシュタインの名言「知識よりも大切なのは想像力、インスピレーションである」の重要性がわかる。
■一般相対性理論から導き出した3つの予言
1.光は曲がる
静止した状態のロケットの中にいる人からは「光は直進している」と見える。しかし、加速した状態のロケットの外側から観察すると、光は放物線を描いて見える。これは、光が真横から入ってくるのにロケットは加速して床面が近づくことになるので相対的には光が曲がって見えることになる。その光そのものが放物線を描くということは、弧状ということで、それでは弧の内側と外側では光の速度が違うことになってしまうため、「高速度一定」の原則に反することになる。よって、光が曲がるのは「加速度=重力」によって空間が曲がることから、それに沿って光が進んでいると考えた。
2.水星の運動
太陽に一番近い水星を観測するのは、太陽に邪魔されてしまい、一年の約半分しか見れない。そこで、水星の楕円軌道上の何点かを観測することで、近日点(もしくは遠日点)を求めることができる。「近日点移動」という、水星の公転軌道がずれる現象を、太陽の重力によって水星の近くの空間さえも歪んでいると考えた。
3.重力波の存在
「重力波の存在=重力」は波の一種で、宇宙空間にくまなく伝わっているとされるが、現段階では重力波の直接検出はされていない。その理由は、重力波の効果で生じる空間の歪みがあまりにも小さいことだ。